HAPPY FOOD COLUMNさつまいも

2023年11月9日

さつまいも「紅はるか」の糖度を解説!甘さの理由や見分け方は?

さつまいも「紅はるか」の糖度を解説!甘さの理由や見分け方は?

野菜でありながら、スイーツに匹敵するほど高い糖度の「紅はるか」。その糖度はなんと50〜60度と、果物以上の甘味があります。  

今回は、そんなさつまいもの大人気品種「紅はるか」の特徴や、糖度が高い理由について深堀り解説します。また、甘い紅はるかを見分ける方法や、おすすめの食べ方についても触れていますので、ぜひ参考にご覧ください。

糖度60度!「紅はるか」とは?

「紅はるか」は近年注目が高まっているさつまいもの品種で、農林水産省のデータ(※)によると、2019(令和元)年に栽培されたさつまいもの作付けシェアは15.4%。これは、約60種類あるさつまいもの品種の中で、2番目に多い作付け数となります。  

なぜ紅はるかの人気が高いのか?それは、さつまいもの中で群を抜いて高い糖度にあります。  

紅はるかの糖度は、収穫した生の状態でおよそ35度、熱を加えると50〜60度にまでアップします。紅はるかの名前の由来となっている「(他の品種と比べて)はるかに優れている」とは、まさにこの糖度の高さを表しているのです。  

※:かんしょをめぐる状況について|農林水産省農産局地域作物課(令和4年6月)

紅はるかの誕生

紅はるかは在来種ではなく、九州沖縄農業研究センターによって開発された比較的新しい系統品種です。形状の揃いが良い「九州121号」と、外観品質に優れている「春こがね(旧系統名:関東108号)」の交配品種で、2010年3月に品種登録されました(※)。  

また、紅はるかは産地や品質、栽培方法によってブランド化されており、いずれの品種も高い糖度と優れた外観を売りにしています。  

※2:品種登録ホームページ(新)|農林水産省

紅はるかの産地と収穫時期

紅はるかの主な生産地は、鹿児島県や大分県などの九州地方ですが、さつまいもの生産が盛んな茨城県や千葉県でも多く栽培されています。  

また、紅はるかの収穫時期については他のさつまいもと違いはなく、一般的に春から初夏にかけて植え付けし、およそ130日前後の10〜11月初旬頃に収穫します。さつまいもは収穫後すぐに食べるより、一定期間貯蔵することで掘り出し直後より糖度が増しますので、食べ頃は早くても11月以降となります。

紅はるかの見た目

さつまいもと言えば赤紫色のレモンのような形をイメージされる方が多いと思いますが、紅はるかはまさにイメージ通りの見た目で、赤紫色の整った紡錘形(つむがた)をしています。他のさつまいもと比べると、やや明るい赤紫色で、凹凸が少ない滑らかな表面をしているのが特徴です。  

そして、紅はるかの特徴に、中の肉色がやや白っぽい点もあげられます。これは、さつまいもを切った時に出てくる乳白色の液体「ヤラピン」の含有率が、他の品種と比べて高いためです。ヤラピンには整腸作用があり、加熱しても数が減少しにくいとされています。

紅はるかの味わいと食感

紅はるかは、まるで蜜が入っているかのような甘味とねっとり感がある「芋蜜」の代表格。加熱することで、紅はるか特有のねっとりトロトロ食感が味わえます。  

紅はるかが持つねっとり食感を味わうのにピッタリの食べ方が、焼き芋とふかし芋です。また、紅はるかの高い糖度をより楽しみたい方は、干し芋もおすすめです。  

もともと干し芋は保存食としてカラカラに乾燥させるのが通常でしたが、現在はさつまいものねっとり感を残した半生状態のものが多く販売されています。ラップに包めば冷蔵庫で3ヶ月ほど、冷凍すれば6ヶ月ほど保存が効くのは、さつまいも好きに嬉しいところ。季節を問わず紅はるかを味わえます。

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紅はるかの糖度はなぜ高い?甘さの理由とは

紅はるかの糖度はなぜ高い?甘さの理由とは

紅はるかの糖度が他の品種と比べて高いのは、2つの理由があると言われています。  

さつまいもが甘くなる理由と、紅はるかの糖度が群を抜いて高い理由について見ていきましょう。

さつまいもが甘い理由

そもそもさつまいもが甘いのは、さつまいもに含まれる澱粉(でんぷん)と、アミラーゼという酵素の働きが関与しています。  

澱粉はブドウ糖が鎖のように連なった構造をしていて、澱粉そのものに甘味はありません。しかし、澱粉に水と熱が加わるとブドウ糖の鎖が緩まり、そこにアミラーゼという酵素が入って澱粉の鎖を切ることができます。これにより、澱粉が麦芽糖やオリゴ糖という糖に変化して、糖度が上がるという仕組みになっています。  

ここで重要なのが温度です。ブドウ糖の鎖が緩まると糊状になり、この状態を「糊化(こか)」といいますが、糊化し始める温度は65〜75℃からとなっています。対して、アミラーゼは80℃を超えると壊れて働けなくなってしまうため、糖度を上げるには丁寧な温度管理と、さつまいも自体の澱粉とアミラーゼが糖に変化しやすい性質を持っていることがポイントとなるのです。  

また、さつまいもに含まれる澱粉は、一定の湿度と温度をキープすることでも糖に変化します。これを「糖化」と呼びます。

そのため、家庭菜園やお芋掘りなどで掘り出してすぐのさつまいもは、湿度が高く涼しい場所で(湿度80%以上・気温13〜15℃)、できれば土がついたまま新聞紙などにくるんで1〜2ヶ月程度保管すると良いでしょう。スーパーなどに並んでいるさつまいもは、すでに一定期間貯蔵しているものが多いので、同じ条件下で2週間ほど追熟させるのがおすすめです。

紅はるかの糖度が高い理由

紅はるかが他のさつまいもより高い糖度を持つのは、澱粉を糖に変えるβ-アミラーゼ活性が高く、さらに低温で糊化する澱粉を持っているという2つの条件が揃っているためです。

  調理時間をかければかけるほどアミラーゼが働く時間も長くなりますので、ご自宅で紅はるかを調理する際は、低温(55〜80℃)でじっくり時間をかけて火を通してみてください。

糖度が高い紅はるかの見分け方

最後に、糖度が高い紅はるかを見分ける方法についてご紹介します。

見分け方①:凹凸が少ない紡錘形を選ぶ

基本的に紅はるかは他の品種と比べて凹凸が少なく滑らかな表面をしていますが、くぼみや凹凸が深いものは、切ってみると筋が多くてスカスカになっていることがあります。  

そのため、凹凸が浅くて、丸みのある紡錘形を選べば、糖度が高いと考えられるでしょう。

見分け方②:色が濃くてツヤがあるもの選ぶ

紅はるかの外皮は他の品種より明るい赤紫色をしていますが、その中でも皮の色が濃くて、ツヤがあるものを選ぶのがおすすめです。  

外皮の色が濃くてツヤがあるのは、栄養が行き届いている一つの目安です。

見分け方③:ツヤっぽい黒いシミがあるものを選ぶ

さつまいもの中に、黒い汚れのようなシミがついているものがありますが、この黒いシミにはいくつか原因があります。  

その原因の一つが、傷口からヤラピンが出て固まっているケースです。ヤラピンが多いのはさつまいもが甘い証拠ですので、黒い部分がツヤっぽく、触ってみるとベタベタするようであれば、糖度が高いと判断して良いでしょう。  

もう一つの原因は、黒斑病やカビなどが発生しているケースです。ホクロのように丸く黒いシミができていたり、黒いシミが斑点状に出ていたり、ふわふわしたものがついていれば、それは病気やカビが発生している状態です。黒く変色している部分を切ってしまえば食べられますが、全体的に苦味が強くなっている可能性が高いため、あまりおすすめしません。

紅はるかの糖度を味わうなら……

今回は、紅はるかの特徴や糖度が高い理由、より甘い紅はるかの選び方についてご紹介しました。  

「紅はるかを食べてみたい!」と思っても、さつまいもの旬は11〜1月頃と限定的。冷凍焼き芋や干し芋なら、季節を問わずしっとり甘い紅はるかをお楽しみいただけます。  

幸田商店の「ほしいも」は、収穫してから少しの間一定温度・湿度の環境で貯蔵しておくことによってじっくり糖化させ、甘味が増した紅はるかを使用しています。
その糖分の高い紅はるかを丁寧に焼き上げ、蜜たっぷりの甘みの強い焼き芋に仕上げたのが「冷凍焼き芋」です。干し芋加工には適さない小振りや細長いサイズのものを焼き芋にしています。

ぜひ、幸田商店の「冷凍焼き芋」で紅はるかの高い糖度をお楽しみください。

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海風が吹き、元気な土壌で育てられる茨城県の農作物たち。
さつまいものみを原材料にした干し芋を中心に、幸田商店では自然の恵みを活かした伝統のものづくりをしています。

国産の豆を使ったきなこやあずき、大麦の食品など、独自の加工技術や製法で美味しく安心安全な食品を製造。 素材の旨みがたっぷりの自社商品を通して、体の健康や食の豊かさを提案しています。

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