HAPPY FOOD COLUMNほしいも

2022年4月1日

干し芋の発祥と生産地について

手軽に食べられるおやつとして、老若男女から親しまれているさつまいもの加工品、干し芋。最近は健康食品としても注目を浴び、若い女性を中心に幅広い世代から需要や人気が高まっています。

その干し芋の産地として、全国のなかでも9割と圧倒的な生産量を誇るのが茨城県です。

今回の記事では、干し芋の産地のルーツの話から、どうして茨城県が干し芋の生産地として発展したのかその背景にある理由についてご紹介いたします。

干し芋の始まりと産地について

日本では保存食として古くから食べられていた干し芋ですが、その歴史は江戸時代にまで遡るといわれています。

干し芋の誕生は現在の静岡県・御前埼に、さつまいもを積んだ薩摩藩の難破船が辿り着いたところからでした。

そこに大きく関わったのが、大澤権右衛門という人物。遭難者を救助し、譲り受けたさつまいもを村々で育て始め、人々から親しみを込めて「いもじいさん」と呼ばれていたといいます。

そこから約60年、静岡でさつまいもの栽培がすっかり普及した頃、もう一人の「いもじいさん」とよばれた人物が。御前崎に近い白羽村で生まれた栗林庄造が、工夫を重ねてさつまいもの煮切り干しの製造を始めたのです。

腐敗の心配が少ない保存性や持ち歩きやすい携帯性、また腹持ちのよさなど、これまでの食品にはない扱いやすさや食べやすさから切り干し芋(干し芋)はたちまち人気となり、人々の暮らしのなかに広まっていきました。

周辺の村々でも作られるようになり、1982年ごろには大藤村(現・磐田市)でさつまいもを蒸して厚切りにして乾燥させる製法が生み出されました。

これが今日の干し芋(切り干し)の誕生の原点となります。

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茨城県が干し芋生産地トップになった理由は?

戦前、干し芋の生産は静岡が圧倒的に多かったのですが、どんどん茨城の生産量が伸びていき、1955年には生産量の立場が逆転します。

この頃はちょうど国の農業近代化政策が進んだ時期。静岡では温室メロンやイチゴ、花などを育てる農家が増えていきました。こうして静岡では干し芋を作る農家が減っていったのも理由のひとつです。

とはいえ、日本にさつまいもが採れる産地はたくさんあり、干し芋を作っている産地はほかにもあります。

どうして茨城が干し芋の産地として国内シェアを高めていったのか、その背景にある理由をまとめてみました。

干し芋産地トップの理由:その1

昭和30年代に導入されたさつまいもの品種、玉豊種が粘質系の芋だったこともあり、干し芋の加工に適していたのが理由のひとつ。また那珂川以北の土地であるひたちなか市、東海村、那珂市の土壌が黒土であり、偶然にも玉豊を育てるのに合っていたのです。

干し芋産地トップの理由:その2

干し芋が生産されているひたちなか市を中心とするこの地域は、茨城の中でも冬場の降水量が非常に少ない地域になります。なおかつ天日干しに必要な冬場の晴天と乾燥した気候が、干し芋づくりをする環境にぴったりでした。

干し芋産地トップの理由:その3

干し芋の生産が根付いたのは、熱意のある先人たちの努力も。

干し芋の製造を始めた湯浅藤七や小池吉兵衛、村長と前渡村農会長を兼任しながら干し芋の普及にあたった大和田熊太郎、さつまいもの研究や指導をしていた白土松吉など、さつまいもの増産や製造の拡大に大きく貢献した人々の存在がありました。

これらの人物は現在もほしいも神社に祀られ、後世にその偉業を語り継がれています。

干し芋産地トップの理由:その4

この10年はさつまいもの新しい品種である「べにはるか」や「シルクスイート」、「ほしこがね」、「ほしキラリ」などさまざまな品種が開発されました。

産地として従来の玉豊や泉にとらわれることなく積極的に新品種も導入し、さつまいもの生産をどんどん増やしていきました。

日本一の生産地・茨城の干し芋は、ほかとどう違う?

さつまいもはでんぷんが糖化することで甘くなりますが、その土地の地温が影響するといわれています。

茨城は九州や西日本のエリアに比べると地温が低く、そのため糖化する温度も低く、ほかの産地に比べて甘くなりやすい傾向があります。

また茨城で作られるさつまいもは、従来品種である「玉豊」、「泉」に加えて近年開発された品種である「べにはるか」、「シルクスイート」、「ほしこがね」、「ほしキラリ」と種類も豊富に。

干し芋の形状をとっても平切り、丸干し、角切り、セッコウなど幅広いバリエーションががあり、さまざまな干し芋の味を堪能する事が出来きます。

さつまいもの品種や干し芋の種類にこれだけバリエーションがあるのは、100年続く産地、茨城ならではです。

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海風が吹き、元気な土壌で育てられる茨城県の農作物たち。

さつまいものみを原材料にした干し芋を中心に、幸田商店では自然の恵みを活かした伝統のものづくりをしています。

国産の豆を使ったきなこやあずき、大麦の食品など、独自の加工技術や製法で美味しく安心安全な食品を製造。素材の旨みがたっぷりの自社商品を通して、体の健康や食の豊かさを提案しています。


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